2013年1月6日日曜日

個として飛び出すグローバル (2012/01/06):【渡航前】【心構え】飛び出すか迷っているときに


【今回のテーマ:飛び出すか迷っているときに】

こういう質問を受けることがある。『海外に行くか迷っています。どう思いますか?』

そういう言われると、結構回答に迷う。

本当は『迷うぐらいなら辞めた方がいいです』と言いたい。日本はまだまだレールを重んじるところがあり、一度離れると軌道修正がしにくい国だ。迷った挙げ句レールを外れて、やっぱり後悔して戻る、となると、また二重に損する感じがする。女性であれば、30代以降は就職も厳しくなり、なかなか正社員がない、と聞く。そんな状況で外に飛び出すのであれば、もう戻れないという強い覚悟がなければ難しい。

でも一方で、『いや~、いろんなところに住むっていうのも面白いですよ~』と言って後押ししてあげたい自分もいる。そういう道を選んだ自分も、そこまでの意気込みで海外に来た訳ではなく、何だかそういうふうに人生が流れてしまった、という方が現実に近い。すべて計画通りには行かないのも人生。波瀾万丈とは言わずとも、結構日常的にスリルが多いことも確か。

だから、わざと少し論点をずらして、『体力的に自信がありますか?』と聞くことにしている。

そうすると、必ず、『え??体力ですか?』と言われる。
『それ、文脈的におかしいだろう』、『何たぶらかしてるんだよ』という相手の心の声が聞こえてくる。

困惑する相手に対しいつも言っているのがこれ。『いやね、海外で一人でやっていくって、結構馬力がいるんですよね。』

そう言っても大抵すぐはレスポンスがないので、そこからは好き勝手話し始めるとする。

そもそも、普通に考えて日本人が自国・日本で会社勤めをするだけでも毎日結構大変だと思う。(この点をあまり認識していない若者からも相談されることが有る故、まずはそこからスタート。)それをわざわざ他国でやろうと思うと、行き着くところは精神力、体力勝負と言っても過言ではない。海外でピンで活路を拓いて行くには、『石の上にも3年』というか、最初の数年が鍵となる。周りを見ていると、厳しい3年を頑張り抜けた人は大抵その後余裕で居残る。

だから、どこから手をつけたらいいか分からない、という人には、『とりあえず毎日腕立て伏せ30回やることから初めてはいかがでしょうか?』という。そうすると笑われる。でも『その30回を半年続けることができたら、ひとまずやる気という意味ではパスしたと自分に言ってあげていいと思う。しかも実際に体力(腕力)もつくわけだし、得した気分になってほしい。』と言う。

どこから手につけていいか分からないのなら、少し具体化するお手伝いをするという意味でそう言うが、そうするとほとんどの人が自主的に何かしら行動を起こし、『準備として○○を始めてみました』と言ってくるようになる。そうやって多分イメージが少しづつ沸き、話に現実味を帯びてくる。

ほんの少し背中を押すだけでこんなに変わるのだな、と思いながらも、逆に辛いのが、一人で飛び立った後、最初から現地でそういう風に支えてくれる人が必ずしもいるわけでもないという点。つい親心のように心配してしまったりもする。

とはいっても、別に毎日が辛く悲しいわけではない。というよりも、通常は楽しい日や普通の日の方が圧倒的に多い。ただ苦しくなってきたときに自分を救えるのは自分の精神力だけだ。

そんなこと、海外にいなくたって同じだ、と思われるかもしれない。いやいや、でも周りにサポートシステムがない場合は結構辛いんですよ。グッと来るんです、痛みが。しかも、例えばヨーロッパのように、昼が短く曇りがちの冬に、周りには何でも話せる友達もおらず、セントラルヒーティングは故障して寒いし、ボイラーは不具合を起こしている、という状況(※こういう環境的不具合、よくあります)。そんな中、『今は○○だけど、自分には乗り越えられるに違いない』と、自信を振り起こして前進していかなくてはいけない。トンネルの先には光が見える(…気がする)、と信じていくしかないのだ。

…と、想像するだけで多少暗い気持ちになってしまう。

ただ、辛いときに真面目に自分にムチを打つ必要は全くないと思う。必要なのは、そういう中でも、『ま、いいか~♩』と適当にやり過ごすことが出来る力。

ん?それって『力』と呼ぶものなのか?

はい。敢えてそれは力だと呼びたい。
…と言い切りつつ、一瞬『力ってそもそも何さ?』と不安がよぎったので辞書で調べてみた。

力とは、『何かをするとき、また、動かすとき、それを可能にする働きを生み出すもの』だという。

なるほど。『それを可能にする働きを生み出す』、か。適当にやり過ごすことを可能にする働きを生み出す、というと、何が何だか分からないが、精神的な凹みを乗り切るエンジンと考えれば、それも力なのだろうか。

まあ、迷っているならば、とにかくゼロからイチに何かを動かし始めるといい。それが毎日腕立て伏せでもいいのではないか。ただ、決めたリズムで継続することが大事。たとえ目標とかけ離れているように見えても、機動力をつけることは人生においてもプラスになる。そういうわけで、これからもクサいことやカッコいいことは言わずに、多少トンチンカンでもこのようなアドバイスを私はしていこうと思う。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
発行元:Analyze + Summarize
Copyright(C)Analyze + Summarize
無断での転記引用はお断りしています。